ニッチク君がゆく 第九回 The Birth Of Dragon
こんばんは。ニッチク君です。
不定期連載「ニッチク君がゆく」第九回目は「The Birth Of Dragon」と題して、覆面ディスコ・バンド 「Dr. ドラゴン & オリエンタル・エクスプレス」について。
覆面ディスコ・バンドといってもその素性は既に広く知られています。バンドのリーダーであり、プロデュースをつとめるDr.ドラゴンことジャック・ダイアモンドとは筒美京平の変名です。「国内制作のディスコ・サウンドを洋楽として売り出したい」という レコード会社の意向から、この変名での活動が始まりました。
オリエンタル・エクスプレスとは架空のグループですが、そこは一流のスタジオ・ミュージシャンで構成されています。ギターには鈴木茂、ベースに後藤次利、ドラムに林立夫、キーボードには矢野顕子が参加しています。
Dr. ドラゴン & オリエンタル・エクスプレスとして1976年3月にシングル「セクシー・バス・ストップ(B面:バンブー)」を発表。琴や尺八のサウンドが東洋的なムードを漂わせる和製ディスコの名曲です。
この曲はメロディーの素晴らしさから、同年4月には浅野ゆう子による競作盤「セクシー・バス・ストップ(B面:ブルー・ライト・ヨコハマ)」が発表されています。
インストゥルメンタルの原曲に、橋本淳が詞を乗せて、高田弘がオリジナルを活かす編曲をほどこしています。こちらは
チャートで最高12位までのぼるヒットとなりました。
同年6月にはアルバム「The Birth Of Dragon」を発表。このアルバムからは「ハッスル・ジェット(B面:ディスコ・ナイト)」がシングル・カットされ、彼らの3枚目のシングルとしてリリースされています。ラテン風味が強調された軽快なナンバーです。
浅野ゆう子のヒットの影響か、Dr.ドラゴン & オリエンタル・エクスプレスの作品はその他にも競作盤が数多く作られました。「ハッスル・ジェット」はシェリーによって「恋のハッスル・ジェット(B面:カリブの夢)」として発表されています。
ここでも作詞は橋本淳が担当。注目されるのはアレンジには船山基紀が起用されているところです。筒美-船山ワークスの中では最も初期の作品でもあります。
また、同年12月には浅野ゆう子は筒美京平名義で書かれたオリジナル作品「ムーンライト・タクシー(B面:リンゴの心)」を発表しています。引続きのディスコ路線ですが、編曲には筒美京平、萩田光雄の他サディスティクスが参加。この年の浅野ゆう子は凄いですね(リリースのスピード、その内容の充実具合)!!
海外ではニュー・ソウル~フィリー・ソウル~ディスコ・サウンドと次々と新たな音楽が生み出されていった1970年代。筒美京平もスタジオ・ミュージシャンやアレンジャーなどと共に、それらの音楽のエッセンスを吸収・消化していきながら数々の斬新かつ素晴らしいサウンドをこの時代に残しています。
「筒美京平作品に間違いナシ」
しかし、この連載いつまで続ければよいのやら。では、また逢う日まで。